
レビュー評価:(4.5)
iPhone SEの競合相手としてPixle 6aを発売したのが2022年7月。それから早10ヶ月、我らがGoogleはついにiPhone一強時代へ終止符に王手をかけてきた。
というのもPixel 7aは圧倒的なコスパで有名になった先代からさらなる成長を遂げていて、これで廉価版なのかっていうレベルにまで完成させてしまったんだ。
今回は自社製品すら食い潰しかねないPixel aシリーズの最新作をレビューしていく。
| メリット | デメリット | 
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本記事の目次(タップでジャンプ)
Pixel 7aはすべてのスマホに立ちはだかる壁

まずPixel 7aの総評から書かせてもらうと、過去未来すべてのスマホの前に立ちはだかる壁といっても過言じゃないぐらい完成された名機だった。
高性能CPU、実用的すぎるカメラ、あらゆる付加価値に対応しているのに価格は6万円ちょっと。そこにストアクレジット1万円とか専用ケースが付いてきたから実質35,000円での購入。
今後発売されるスマホはこのコスパを超えないといけないんだからGoogleはマジでやってくれた。
Pixel 7aの特徴

そんなPixel 7aの特徴は下記のとおり。
- 6.1インチ有機ELディスプレイ(90Hz駆動)
- Google Tensor G2
- デュアルカメラ(標準広角、超広角)
- デュアルSIM対応(nanoSIM、eSIM)
- 無線充電
- 顔/指紋認証
- おサイフ対応
- IP67防水防塵
- 定価62,700円
Pixel 6aのインパクトも凄かったけど、Pixel 7aの進化はそれを凌駕している。もちろんすべての性能が最強とまではいかないが、最高にバランスが取れたスマホはなにかっていう模範解答がこれだ。
Pixel 7aの洗練された外観

もはや顔馴染みになったPixelの外観なんだけど、Pixel 7aの質感は上位モデルにも負けない仕上がり。むしろこっちのほうが高級感をうまく演出している気がする。

その要因のひとつがカメラ部分の素材。Pixel 6aではプラスチック素材のせいでチープな感じがあったけど、Pixel 7aではアルミ素材に変更されたことで印象が改善されている。しかも光沢感のないマット仕上げがそこはかとなく優艶。

側面フレームにも同じ素材が使われているから統一感があってグッド。

カメラ部分はいつもどおり左から標準広角、超広角レンズ、LEDライト。

インターフェースも特に変更点はなくて上側にノイズキャンセリングマイク、5Gアンテナ。

下側は左からマイク、Type-C充電ポート、スピーカー。

右側は電源ボタンと音量調整ボタン。この配置はいいかげん逆にしてほしいけどGoogleにはそれが全然伝わってないらしい。

左側はSIMスロットのみ。

SIMカードも変わらずnanoSIMとeSIMを併用できるデュアル仕様。

正面は6.1インチの有機ELディスプレイで、廉価版のaシリーズでも90Hz駆動に対応した。

上部にはスピーカーとパンチホールカメラが配置されていて、

Pixel 7から対応した顔認証もしっかりと備えている。さすがにiPhoneレベルの認証精度はないけど、明るい環境であれ問題なくロック解除が可能。

とはいえ、やっぱりメインで使うのは指紋認証。Proモデルと同じく爆速。

音響はもちろんデュアルスピーカー仕様になっていて、調整できる音量は全25段階。わずかに中音域を強調している気もするけど全体的には一体感のある音質が楽しめる。

しかもPixel 7aでは今まで廉価版になかった無線充電にまで対応してしまったんだ。使い勝手だけならもはや10万円を超えるハイエンドスマホと遜色がない。

ただし、逆無線充電には非対応。これもあれば嬉しい機能ってだけで、なくても別に問題ないから欠点にすらならない。

重量は192グラムで、オマケで付いてきた保護ケースを装着すると224グラム。


Pixel 7aそのものは全然軽くないんだけど、指のかかるギリギリのサイズ感だから片手持ちでもそこまで苦痛に感じない。
Pixel 7 Proのカタログスペック

Pixel 7aのカタログスペックは下記のとおり。参考に先代Pixel 6aと比較しながら確認していく。
| Pixel 7a | Pixel 6a | |
| CPU | Google Tensor G2 | Google Tensor | 
| メモリ | 12GB | 8GB | 
| ストレージ | 128GB | 128GB | 
| ディスプレイ | 6.1インチ(90Hz有機EL) | 6.1インチ(60Hz有機EL) | 
| 解像度 | FHD+(2,400 x 1,080) | FHD+(2,400 x 1,080) | 
| カメラ | 広角カメラ(64MP、Octa PD Quad Bayer) 超広角カメラ(13MP) フロントカメラ(13MP) | 広角カメラ(12.2MP) 超広角カメラ(12MP) フロントカメラ(8MP) | 
| バッテリー | 4,385mAh | 4,410mAh | 
| 認証 | 顔/指紋 | 指紋 | 
| SIMスロット | nanoSIM | nanoSIM | 
| eSIM | 〇 | 〇 | 
| おサイフ | 〇 | 〇 | 
| 無線充電 | ○ | ✕ | 
| 防水・防塵 | IP67 | IP67 | 
| サイズ | 152×73×9mm | 152×72×9mm | 
| 重量 | 194g | 178g | 
| 価格 | 62,700円 | 53,270円 | 
チップセットが最新のTensor G2になっていたりメモリが増強されたりはしているんだけど、先代との大きな違いは付加価値の強化がメイン。
あと標準広角カメラが高画素になったおかげで廉価版でも解像度の高い写真が撮れるようになったんだ。
無線充電、滑らかなディスプレイ、顔認証、高画素カメラが予算を1万円増やすだけで追加できるんだから僕はPixel 7aを断然オススメする。
Pixel 7aの処理能力はちょうどいい

Pixel 7aにはProモデルとほぼ同等のチップセットTensor G2を搭載。
実際にベンチマークアプリを使ってスコアを計測してみるとAntutu Benchmarkは約67万点、Geekbench5ではシングル1,361 点、マルチ3,156点という結果。
- REDMAGIC 8 Pro(Snapdragon 8 Gen 2):1,287,876
- POCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1):988,836
- iPhone 14 Pro(A16 Bionic):943,167
- Google Pixel 7 Pro(Google Tensor G2):748,946
- Google Pixel 6a(Google Tensor):746,562
- iPhone SE3(A15 Bionic):734,950
- Google Pixel 7a(Google Tensor G2):671,156
- Xperia 10Ⅳ(Snapdragon 695 5G):392,567
- OPPO Reno7 A(Snapdragon 695 5G):380,669
- Redmi Note 11 Pro 5G(Snapdragon 695 5G):364,419
- Redmi Note 10 Pro(Snapdragon732G):339,728
- Redmi Note 11(Snapdragon680):235,149
Tensorはハイエンドのなかでも控えめの性能をしているんだけど、Tensor G2になってもそれは一緒。むしろPixel 6aよりも低スコアという微妙な結果になった。
たぶん連続でベンチマークを試してもスコアが極端に落ちたり発熱もなかったから、安定した動作とバッテリー持ちを意識しているからだとは思う。まあ誤差の範囲内だから問題なし。
それとGPU性能はそこまで改善されてないみたいだからゲーム性能は及第点。原神とかがプレイできないというわけじゃないけど、映像処理はiPhoneよりもちょっとだけ劣る。
Pixel 7aのバッテリー持ちは約16時間

PC Mark for Androidでバッテリー持ちを計測したところ100%から20%になるまでは約13時間という結果。(測定条件:明るさ50%、音量50%、リフレッシュレート60Hz)
この計測結果を100%から0%までに換算するとPixel 7aのバッテリー持ちは約16時間。僕が過去に計測したスマホと比較するとこんな感じ。
Pixel 7aはボディサイズを維持したまま無線充電に対応したため、先代よりもバッテリーが小型化されている。だからバッテリー持ちもそれだけ短くなった感じ。
といっても処理能力と同じで微々たる差。それにハイエンド機のなかでもトップクラスの持ちだから、普段使いで不満を感じることはないと思う。
Pixel 7 Proのカメラ性能

ここからはPixel 7aのカメラ画質を確認していく。
Pixel 7aのカメラ構成は下記のとおりで、
- 6,400万画素 標準広角カメラ
- 1,200万画素 超広角カメラ
比較対象は先代Pixel 6a。AI補正オンのオート撮影、JPEG撮って出し。夜景はナイトモード利用した。
標準広角カメラ
まずは標準広角カメラで撮影した写真を比較する。
 
 
Pixel 7aの標準広角カメラは先代からの進化が結構わかりやすくて、まずは画角が広くなっているのが強み。
 
 
色補正はほぼ同じなんだけど、Pixel 7aのほうが空をより青く表現する傾向がある。
 
 
これも傾向は同じ。
 
 
逆光条件の写真。Pixel 7aのほうはダイナミックレンジが広く、白飛びの範囲が抑えられてる。
 
 
料理の写真もPixel 7aのほうが暖色よりで美味しそう。同じメーカーでも色補正に違いがあるのは意外だった。
 
 
夜景撮影。Pixel 7aの標準カメラはOcta PDに対応しているから暗所の弱さが改善されてる。
 
 
ノイズも少なく、看板の白飛びも抑えてくれてるし本体価格を考えれば文句なしの写り。
 
 
超低照度の環境でもナイトモードで撮影すれば全然問題なし。実際に撮影してみると標準広角カメラの性能は明らかに向上してたから、これだけでも買い替えの価値があると思う。
超広角カメラ比較
続いて、超広角カメラの写りを比較していく。
 
 
超広角カメラも画角がさらに強化されて、Proモデルと同じ壮大な写真撮影が可能になった。
 
 
空の色も変わらずPixel 7aのほうがちょっと青くて爽やか。
 
 
反逆光。画角の広さ、空の青さ以外に違いはほぼなし。
 
 
逆光条件。これもほとんど違いがないけど、やっぱりPixel 7aのほうが使いたいと思わせる写真に仕上がる。
 
 
ただし夜景撮影はちょっと評価しにくくなる。画角が広いから強い光源が近くにあると視界に入ってしまいゴーストが大量発生しやすいんだ。
 
 
光源が遠くにあれば問題ないんだけど、撮影するときは注意したほうがよさそう。
 
 
超低照度の環境。Pixel 7aの露出調整は派手さよりも落ち着かせる傾向でちょうどいい。
Pixel 7aのカメラはハイエンドに追い縋る

Pixel 7aのカメラ性能は先代よりもさらに磨きがかかっていて、10万円以下のスマホなら敵はいないといっても過言じゃないレベルだ。なんだったら一世代前のハイエンド機はもう追い抜いている。
ここまでくるとProモデルが勝っているところは望遠カメラとビデオ撮影性能ぐらい。だから、そこにさえ拘らなければPixel 7aのカメラでも全然満足できてしまうはずだ。
ちょっと廉価版に気合い入れすぎじゃないですかねGoogleさん。
もちろん備わってるPixelの独自機能

もちろんPixelに備わっている下記の便利機能もそのまま継続。
- 音声自動文字起こし
- 消しゴムマジック
- 音楽検索
どんな機能なのかはもはや周知の事実だと思うけど、なかでも文字起こしと音楽検索はあると役立つ。
文字起こしは会議内容を振り返るために今でも使ってるし、

音楽検索はテレビとかラジオで流れた曲をすぐ調べられる。

消しゴムマジックはさすがにCMみたいな感じで綺麗に消してやれなくて全然使ってない。

今年発売されるであろうPixel 8もこの機能性を推してくるとは思うんだけど、アピールポイントとしては正直弱ってきてる感が否めないから次なる機能が求められる。
Pixelが攻める最高のタイミング

さて、わずかな不満点はあれどGoogleがここまで完璧に仕上げたPixel 7aをたったの6万円で発売したのにはそれなりの理由がある。と僕は思っている。
それこそがスマホ市場を牽引しつづけた将軍iPhoneへの下剋上だ。
視線の先にはiPhone

世界中にスマホは星の数あれど、Pixel最大の敵といえばやっぱりiPhone。そんな彼にも大きな課題がまだ残っていてそれが下記のとおり。
- やめられないLightning端子
- 極太パンチホールカメラ
これは弱点としてよく挙がるんだけど、逆にこれさえ乗り切ってしまえばiPhoneはまたもや神スマホとして絶賛されること間違いなし。Apple一強の時代がまだまだ続くことになる。
Googleの先制攻撃
そうなってからではもう遅い。iPhoneが下火になってる今こそが絶好機。
Googleはスマホ市場のシェアを奪還するため、急ぎ足でPixel aシリーズを完成し尽くしたというわけだ。そしてその目論見は見事成功。たしかに街中でPixelを見かける機会は増えてきている。
最強を追いかけない最高のPixel 7a

というのがPixel 7aというスマホの全貌。
望遠カメラがなかったり、すこしだけゲームに弱いところもあるから最強スマホってわけじゃないんだけど、価格を含めたトータルバランスは間違いなく最高の一品だ。
格安スマホはもちろん、ハイエンドスマホに買い替えるか悩んでいるんだったらまずはPixel 7aを検討してみるべき。それぐらいみんなに推せる製品だった。今冬に発売されるであろうPixel 8にも期待。
