
最近ブログをサボりまくってて申し訳ない。
久しぶりの投稿がZenfone 10のレビューってことで、何ヶ月遅れだよって感じはすると思うけど、僕なりに今のZenfoneに真摯に向き合ってみたからよければ見ていってほしい。
コンパクトスマホの代名詞ともいえるZenfoneシリーズ。その新型の姿とはいかに。
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5.9インチという唯一無二の存在

小型のボディに最強クラスの頭脳を詰め込んだスマホこそが今のZenfoneシリーズなわけだけど、このコンセプトはスマホ市場でもかなりレアな存在だったりする。
というのも、最近のハイエンドスマホは性能をアップさせるための大型化を余儀なくされてるところがあって、そのほとんどが6.7インチクラスばっかり。
群雄割拠のスマホ市場でもいまもなお埋もれることなく輝いていられる理由が絶妙なサイズ感なんだ。
Zenfone 10の特徴

そんなZenfone 10の特徴をまとめたのが下記のとおり。
- スマホ市場最小のハイエンドスマホ
- 現状最強チップ
- デュアルカメラ(標準広角、超広角)
- おサイフ機能
- イヤホンジャック
- 無線充電
- ツインアプリ
- サイドバー
前作のZenfone 9も素晴らしい出来ではあったんだけど、今回のはなにひとつ妥協することなく順当な進化を遂げた完全なる上位互換スマホなんだ。
にもかかわらず、お値段はほぼ据え置き。ASUSの弛まぬ企業努力が感じられる一台だった。
Zenfone 10のボディ

Zenfone 9といえば小柄なボディに規格外の二眼カメラを搭載したのが特徴的だったんだけど今回もその流れを踏襲。

背面素材にはガラスではなくポリカーボネート樹脂を採用。
さらさらというよりはザラザラとしていて、まるで布のような繊維感のある手触りだった。

指紋は付きにくい印象だったんだけど、僕が購入したミッドナイトブラックはわりと目立ちやすい。気になる人は明るめのカラーを選んだほうが良さげ。
背面ロゴはZenfone 9のメカっぽいデザインからシンプル路線に変更されていい感じに。

側面はスリ加工されたアルミ素材のフレームで排熱効率は高そう。

インターフェースは、上側にイヤホンジャックとノイズキャンセリングマイク。

下側にはスピーカー、充電用のType-Cポート、ノイズキャンセリングマイク、SIMスロット。

SIMスロットは裏表式で、二枚のnanoSIMを挿入することができる。

右側には音調調整ボタンと電源ボタン。

電源ボタンには指紋認証センサーが内蔵。最近はディスプレイ内蔵型のスマホが多いんだけど、認証精度とかはやっぱり物理式のほうが優秀。

左側は特になにもなし。

正面は5.9インチのコンパクトな有機ELディスプレイ。通常時のリフレッシュレートは最大120Hzなんだけど、ゲームを起動しているときは最大144Hzで駆動できる。ただし、体感できるかは微妙。

上部には受話口を兼ねたスピーカーとフロントカメラ。パンチホールを左上にしてるのはちょっと新鮮だけど、Amazon Primeとかで映画を見てるときに全然気にならないからこれは意外とあり。

デュアルスピーカー仕様で、音量は30段階で調整できる。バランスを重視した音質で、やや低音の迫力が物足りないように感じた。

付属品には説明書、専用ケース、充電器、USBケーブルとかなりの充実っぷり。素晴らしい。

充電器の質感はマット加工されたプラスチックって感じで、ASUSのロゴもしっかり刻まれてる。ポートはType-Cがひとつあるだけ。

ケーブルのコネクタ形状はType-C to Cで、こちらにもASUSの刻印があってわかりやすい。

最大30Wの給電に対応していて、Zenfone 10の充電能力をフルに発揮できる。

しかも今回は15Wの無線充電もちゃんと備えてきた。

専用ケースは薄めのハードタイプで、装着しても裸のときとそれほど変わらない感覚で持つことができる。シンプルすぎるデザインが逆に好印象。

重量は176グラムで、付属ケースを着けても190グラムで納まってしまう。なんだったら旧型よりもちょっと軽くなってるんだからヤバい。


充分すぎる付加価値に、これまでの欠点だった無線充電もついに克服。それでいて超携帯しやすいサイズ感はそのまま継続。Zenfoneのボディはとりあえずこれで完成したと見ていいだろう。
Zenfone 10のカタログスペック
| Zenfone 10 | Zenfone 9 | |
| チップセット | Snapdragon 8 Gen 2 | Snapdragon 8+ Gen 1 |
| メモリ | 8/12 | 8/16 |
| ストレージ | 128/256/512 | 128/256 |
| ディスプレイ | 5.9 | 5.9 |
| 解像度 | FHD+(2,400×1,080) | FHD+(2,400×1,080) |
| カメラ | 標準広角カメラ(50MP) 超広角カメラ(13MP) フロントカメラ(32MP) | 標準広角カメラ(50MP) 超広角カメラ(12MP) フロントカメラ(12MP) |
| バッテリー | 4,300mAh | 4,300mAh |
| 認証 | 指紋 | 指紋 |
| SIMスロット | デュアル(nano+nano) | デュアル(nano+nano) |
| eSIM | ✕ | ✕ |
| おサイフ | ○ | ○ |
| 無線充電 | ○ | ✕ |
| 防水・防塵 | IP68 | IP68 |
| サイズ | 146×68×9 | 146×68×9 |
| 重量 | 172g | 169g |
| 価格 | 99,800円~ | 99,800円~ |
チップセットの更新と無線充電が、旧型からの大きな変更点。だけど、価格は据え置きとなる。
他社製品が値上げラッシュしてるなかで、この値段でのリリースはASUSを評価するしかない。
Zenfone 10の強すぎる処理能力

Zenfone 10に搭載されてるチップセットはSnapdragon 8 Gen 2。その処理能力をAnTuTu Benchmarkで検証してみると約136万点という化物みたいなスコアを叩き出した。
同じくベンチマークを計測するGeekbench 6の場合は、シングル2,023・マルチ5,505点という感じ。
ガジェライフで実際にこれまで検証した結果をまとめたのが下記のとおり。
連続でベンチマークを回すと、本体温度が上がることで10万点ぐらいスコアが落ちるんだけど、ここまでハイスコアになると誤差でしかないから問題なし。
それよりも最高温度が45℃ぐらいまでに抑えられていて、旧型と比べてすこし熱に強くなってるところを評価してあげたい。
Zenfone 10のバッテリー持ち

しかも、驚くべきことにバッテリー持ちも優秀なんだ。
実際にPC Mark for Andoroidでバッテリー持ちを検証してみたところ、結果は120Hz駆動のときが11時間37分、60Hz駆動のときが18時間15分も動いてくれた。(条件:画面の明るさ50%、音量50%)
これを100%から0%までに換算し直すと、120Hz駆動が14時間31分、60Hz駆動が22時間48分。
ガジェライフで実際にこれまで検証した結果をまとめたのが下記のとおり。
これでバッテリー容量は4,300mAhなんだから、ちょっと記録がバグってる。でもこれが事実。
Zenfoneの処理能力とバッテリー持ちのバランスは相変わらず異常だった。
Zenfone 10のカメラ

次に、カメラ画質を比較していく。
Zenfone 10には二つのレンズが搭載されていて、カメラ構成は下記のとおり。
- 5000万画素 標準広角カメラ
- 1200万画素 超広角カメラ
ハイエンド機種ではあるものの望遠カメラは非搭載なのがちょっと残念なところ。
カメラ画質はPixel 7 Proと比較していく。写真はAI補正オンのオート撮影、JPEG撮って出し。夜景はナイトモードを使用。
標準広角カメラ
まずは標準広角カメラ。

鮮明さはほぼ互角。晴天条件だったら写りに違いはそこまでないんだけど、Zenfoneのほうはやや暖色に補正する傾向。

空をメインにした写真。Pixelが見たままの印象に対し、Zenfoneはくど過ぎない程度に青さを強調してる。

明暗差のある場所を撮影。芝の緑をかなり濃いめにするZenfoneは加工いらずでSNSにアップできそう。ただ、暗所にちょっとだけノイズが浮かぶ。

逆光条件で撮影。白飛びとかはほとんどなく、同じような写りに見えるんだけど、Zenfoneは四隅の解像感が落ちてるのが気になった。

花の写真はPixelのほうが上手。ボケ感も高く、花弁の皺までしっかりと表現されてる。

夜間での撮影。あえて違いを指摘すると、Zenfoneは街灯とかのフレアが強めに写ってる気がする。

とはいえ、比較してようやく気になるレベルだからそこまでの問題じゃない。

超低照度での撮影。Zenfoneは街路樹の色に引っ張られて、砂利がちょっと緑に着色されてる。

低照度の環境でもう一枚撮ってみた。昼間とは違って、Zenfoneの空から青さが消えてしまった。
たぶん、黒潰れを防ぐために光を取り込みすぎて白っぽくなったんだと思う。
超広角カメラ
続いて、超広角カメラでの撮影を比較していく。

色補正は標準カメラと同じなんだけど、彩度が明らかに落ちてしまってる。旧型でも指摘されてた欠点は今回も改善されてないのかもしれない。

鮮明さもちょっと微妙で、左下の芝とかで粗さがかなり目立つ。

明暗差のある写真。こちらも傾向は同じ。

逆光条件での撮影。悪くはない。悪くはないんだけど、一流と比べてしまうとって感じも否めない。

夜間での撮影。光量があれば全然問題ない写り。なんだったら、Pixelだと白飛びしてる街灯の電球をちゃんと捉えられてるのに驚いた。

しかも超広角カメラのレンズフレアはZenfoneのほうが残りづらいような気もする。

超低照度での撮影。これは撮影ミスったのかって疑うぐらいPixelの写りが酷い。Zenfoneは暗いけど、コントラストが締まってて印象がいい。

低照度でもう一枚。Pixelは暗所を持ち上げて全体的にボヤッとしてる。対してZenfoneは暗いけど、雰囲気のある写真になったから、超広角カメラの暗所補正は意外と悪くないのかもしれない。
動画性能
Zenfone 10で撮影できる動画設定は下記のとおり。
まず、手ブレ補正はiPhoneやPixelにも見劣りしないレベルで強力。走っても画面がほとんど動かないこの精度は想像以上だった。
ただし、彩度とか露出の調整スピードはすこし微妙。コントラストが高くて見やすくはあるんだけど、写真ほどの鮮やかさはなく淡白な映像に仕上がるんだ。
あと、暗所性能はなにが映ってるのかわからないぐらい壊滅的。手ブレ補正はかなり優秀だからセンサー見直しに期待したい。
動画性能がこれからの課題

Zenfone 10のカメラは最高峰ってわけじゃないけど、色補正やコントラストの調整でそこそこ綺麗に見えるようにうまく調整されてるって印象。
光量があればPixel 7 Proと勝負ができる写りだし、超広角カメラの暗所補正も向上していた。
ただし、それは写真だからって話で、動画となると話が変わる。手ブレ補正そのものはかなり優秀なんだけど、色味やフォーカス速度、暗所性能がまだ弱いなあと感じた。
まとめると、写真を撮るなら全然問題なし、動画はちょっと頼りないっていう感想になる。
Zenfoneの独自機能

それでもZenfoneが生き残りつづけてるのは、国内で発売されてるハイエンドスマホのなかで独自機能がかなり優れてるからってのも大きいんだ。
それが下記のとおり。
- ZenTouch
- 豊富なジェスチャー操作
- エッジツール(サイドバー機能)
- ツインアプリ対応
ZenTouch
側面の電源ボタンは指紋センサーを内蔵してるだけじゃなく、二度押しやスワイプ操作にも対応しているんだ。

例えば、ダブルタップすると音声入力がすぐできたり、
スワイプするだけでブラウザを更新したり、Youtubeのマイリスト動画を前後したりすることだって可能。
ただし、親指で操作するのを前提にしてるから、僕みたいに左手でスマホを持つ人にはちょっと扱いづらいかも。
次のZenfone 11でボディ左側にもZenTouchを搭載してくれれば嬉しい。
豊富なジェスチャー機能
ショートカット機能はそれだけじゃない。
背面のダブルタップ、トリプルタップはもちろん備えてるし、

スリープ状態のときに、特定のアルファベットを指で描くとアプリをそのまま起動させたりまでできるんだ。しかも起動するアプリは変更可能。

まだ、描くアルファベットは自由に設定できないんだけど、今後のアップデートで神機能に化けるかもしれない。
エッジツール(サイドバー機能)
しかもエッジツールまで導入されてるからマジで抜け目なし。

システムショートカットも設定できるし、位置も自由に決めることができて汎用性はかなり高め。
ジェスチャー操作と合わせれば、アプリを全然配置せずホーム画面をスッキリさせられるから、これはAndoroidスマホの親玉Pixelにも見習ってほしいところ。
ツインアプリ対応

あと、デフォルトでツインアプリに対応してるから、普通はひとつしかインストールできないアプリを複製することが可能。
電話番号がふたつあれば、LINEアカウントを仕事とプライベートで別管理できたりする。
使いやすさを追いかけたスマホ

Zenfoneは高性能でコンパクトなぐらいでしょって最初思ってたんだけど、正直なところZenfone 10の仕上がりはかなりハイレベルだなと感じた。
旧型で指摘されてた無線充電も備えてきたし、写真はPixelとそこそこの勝負ができる。動画も暗所性能こそまだ弱いけど手ブレ補正は超強力。なによりジェスチャー操作やZenTouchが熱い。
これでもかと機能を詰め込んで、まさにユーザーの使いやすさに注目した機種だった。
課題になるのは望遠カメラ
あと物足りないことといえば望遠カメラではあるんだけど、実装するなら最低でも光学3倍、できれば光学5倍ぐらいの能力が欲しいなる。
ただ、それでボディサイズが大きくなってしまっては本末転倒。手のひらに収まる小型スマホっていうコンセプトを守ろうとするとハードウェアを進化させづらいのが難点。
闘わずして生き残っていく
とはいえ、5.9インチという最高に持ちやすいサイズ感で、普通に使えるカメラとゲームに特化した機能を備えているオンリーワンのスマホこそがZenfoneだ。
Pixel、Galaxy、iPhoneといった超大手と戦っても勝つのはかなり厳しい状況。
なら、無駄に争わなければいいじゃない。他社製品にはない強みで獲得した今のポジションはしばらく安泰だと思う。
