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【Nothing Ear(2)レビュー】いい出来栄え、ただライバルが強すぎ

2023年4月8日

背面スケルトンやグリフインターフェースなど他に類を見えない尖ったデザインで世に名乗りを上げたNothing社の最新イヤホン。

これがなんでも圧倒的な進化を遂げていたり、史上最高傑作とも噂されているらしい。

いやいや騙されてやりませんよ、むしろそのスケスケな化けの皮を剥いでやる。ということで皆さんに真実を伝えるべく今回は「Nothing Ear(2)」をレビューする。

Nothing Ear(2)の特徴

そんなNothing Ear(2)の特徴をまとめると下記のとおり。

  • スケルトンボディ
  • カナル型ステムタイプ
  • ANC(アクティブノイズキャンセリング)対応
  • トランスペアレンシー(外音取り込み)対応
  • IP54防水防塵対応
  • マルチポイント対応
  • 価格22,800円

機能面では他のワイヤレスイヤホンとあまり違いがなくて、差別化になっているのはやっぱり特徴的なスケルトンボディ。Nothingのコンセプトに寄り添えるかどうかがこれを選ぶ鍵になる。

それとすこし嬉しいのが防水防塵性能の強化。イヤホン・ケースともに初代より故障リスクが低くなるから安心して使うことができるんだ。

Nothing Ear(2)の外観と付属品

Nothing Ear(2)のカラーは初代と同じで1種類のみ。そのうちNothing Phoneに合わせて別カラーリングが登場する気もする。

パッケージの開封口は相変わらず食玩みたいなやつでこれは賛否が分かれる。

開封すると待ち受けてるのは謎のマーク。これはQRコードになっていてNothingの専用アプリがダウンロードできるらしいんだけど、僕のPixelはまったく反応しなかった。

イヤホンボディはこんな感じで持ちやすいステムタイプ。ステム部分はクリアパーツを採用。

ステム表側にはノイズキャンセリングマイク、ドット風ロゴが印字されている。

紅白色の丸いマークはイヤホンの左右を見分けるために役立つ。ちなみに左が白色、右が赤色になってるから日本の右紅左白を参考にしているのかも。

ボディ裏側にはノイズキャンセリングマイク、気流調整用のヴェント。あと仕組みは分からないが着脱検知センサーもこっち側に組み込まれてるっぽい。

ステム側面にはオーディオ操作のための感圧センサーを備える。

ステム裏側には充電接点。

ノズル部分は金属フィルターで蓋がされている。

充電ケースは上向きに開く指輪ケースタイプだ。もちろん中身が丸見えになるクリア素材。

バッテリーが内蔵されている部分はマットな質感が良好。左上にはear(case)というロゴ、右下にはペアリング状況を教えてくれるLEDを備える。

ケース側面にはペアリングボタンとType-C充電ポート。

有線だけじゃなくもちろん無線充電にもちゃんと対応。

蝶番部分はプラスチック素材なんだけどサラサラとした表面加工のおかげでちょっと高級感がある。

サイズ感はAirPods Pro2とほぼ同じような感じ。

ただ厚みは初代よりもちょっと薄くなっているみたいで、さらにAirPodsのケースに近付いた。

重量はイヤホンが4グラム、ケース込みで61グラム。ケースを薄型化したから重量も合わせてわずかに軽くなった。

付属品はこんな感じ。

  • 説明書
  • 交換用イヤーピース
  • 充電ケーブル

交換用イヤーピースはS・M・Lの合計3種類で、デフォルトではMサイズが装着されている。

充電ケーブルはシリコンチューブの内側に布ケーブルが通っている珍しいタイプ。ただ、ケーブル長が30センチしかないからほとんど使い道はない。

あと両方ともType-C端子だから充電器によっては変換アダプタが必要。

あと、先着特典でNothing特製ステッカーも付いてきた。Nothingファン歓喜。

Nothing Ear(2)は所々に高級感のあるパーツが散りばめられてはいるんだけど、Nothig Phoneと違ってスケルトン部分がプラスチックだからチープな感じも否めない。

購入を考えているなら、状況によって印象がガラッと変わるデザインというところは肝に銘じておこう。

Nothing Ear(2)は初代のマイナーチェンジモデル

Nothing Ear(2)のスペックは下記のとおり。参考に初代Nothing Earと比較する。

 Nothing Ear(2)Nothing Ear(1)
形状カナル型ステムタイプカナル型ステムタイプ
バッテリーイヤホン:6.3時間(ANCで4時間)
ケース込み:36時間(ANCで22.5時間)
イヤホン:記載なし
ケース込み:34時間(ANCで24時間)
対応コーデックSBC/AAC/LHDCSBC/AAC
通信方式Bluetooth5.3Bluetooth5.2
防水防塵イヤホン:IP54
ケース:IP55
IPX4
ドライバー11.6mmダイナミックドライバー11.6mmダイナミックドライバー
ANC機能
着脱検知機能
ワイヤレス充電
外音取り込み
マルチポイント
空間オーディオ
ヘッドトラッキング
ヘルスモニタリング
専用アプリ
サイズ(h)55.5×(w)55.5×(t)22mm(h)58.6×(w)58.6×(t)23.7mm
重量イヤホン:4.5g
ケース込み:51.9g
イヤホン:4.7g
ケース込み:57.4g
価格22,800円18,500円

デザインが刷新されているわけでもなく、基本的なところは初代からのマイナーチェンジ的な製品。

とはいえ、Bluetooth5.3になったことでバッテリー持ちがわずかに向上、マルチポイントや空間オーディオにも対応して着実に進化はしているんだ。

初代から買い替えるかどうかは悩ましいところだけど、そこは音質やANC機能のレベルに委ねられるといった感じ。

Nothing Ear(2)は高音域を主張する

さてイヤホンの評価を左右する音質についてなんだけど、Nothing Ear(2)は高音域に向かうほどハッキリしたサウンド設計になっている。

いわゆるドンシャリ傾向からドン部分を削ったような感じで、低音はどちらかといえば控えめ。胸を叩くような感じがあまりなく落ち着いた音楽には向いている印象。一方で、高音側はちょっと刺さる気がするから繊細さよりも弾むような楽しさには期待ができる。

機能面では空間オーディオに対応しているおかげで音場の広がりはそこそこ。できればヘッドトラッキングにも対応してほしかったがそこはアプデに期待。

ANC性能は中級レベル

一方で、ANCの品質は価格相応。

最高のノイキャン性能を備えるAirPods Proには及ばないものの、同価格帯であれば見劣りすることはないと思う。レベル感的には最大で10の雑音が7ぐらいになるイメージだ。

また、雑音レベルに合わせて強さを自動調整してくれるアダプティブモードにもちゃんと対応してる。

トランスペアレンシーは実用的

また、トランスペアレンシー(外音取り込み)の出来栄えもそこまで悪くない印象だ。

ホワイトノイズや自分の声質がちょっと機械的になったりするところは気になるんだけど、外音そのものは違和感をあまり感じないと思う。少なくともコンビニのレジ会計とかでイヤホンを外す必要はないレベル。

Nothing Ear(2)は軽いけど圧迫感のある付け心地

Nothing Ear(2)は付けているかどうか分からないぐらい軽いんだけど、装着したときに圧迫感を感じやすいような気がした。

これはカナル型だからっていうのもあるんだけど、たぶんボディ形状が関係してる。

Nothing Ear(2)のボディはちょっとフラット気味になっていて、装着したときに耳と触れる面積が広いのが原因なんじゃないかと思う。もし気になるなら浅めにかけることで症状をやや改善できる。

ピンチ操作はわかりやすい

色々あるオーディオ操作はステムを摘まむことで可能。具体的な操作は下記のとおり。

物理ボタンではないんだけど摘まむたびにパチッという音を鳴らしてくれるから、操作している感覚をしっかり体感できる。

ただ、感圧センサーの面積が思ったよりも小さかったから指先の触れる位置は結構シビア。

Nothing Ear(2)のアプリは結構いい

もちろん専用アプリも用意されていて、これのUIは分かりやすくて好印象。

高リフレッシュレートにも対応してるっぽくて動作は結構なめらか。こういう細かい部分に拘っているのはNothingらしい。

アプリで設定できる項目は下記のとおり。

  • イコライザ
  • コントロール
  • ノイズコントロール
  • パーソナライズ調整
  • マルチポイントなど各種設定

イコライザ

音質調整するイコライザ機能はちゃんと搭載されている。

ただ、カスタムできる幅がちょっと少ないから他社よりも物足りなさが目立つ。

あとプリセットはバランス・低音・高音・音声の4種類が準備されているんだけど、高音と音声の強調は音がゆがむから正直あんまり使い物にならなかった。ここはまだ改善の余地あり。

コントロール

コントロールではピンチ操作の内容をそれぞれ変更可能。

操作によって設定できる内容はある程度決まっているんだけど、イヤホン左右にそれぞれ違う内容を割り当てれば全機能を網羅できるから問題なし。

唯一、1度押しの内容はカスタマイズができない。まあデフォルトで再生・一時停止が設定されてるからそこまで気になくてもOK。

ノイズコントロール

これはANC・トランスペアレンシー・機能オフなどイヤホンモードを変更するために使う。

強度についてANCは3段階から選択できて、トランスペアレンシーは選択肢なし。機能オフ時はバッテリー持ちが良くなるんだけど、耳がつまった感じがして不快だからあえて選ぶ必要はない気がする。

パーソナライズ調整

さらにNothing Ear(2)はイコライザやANCのパーソナライズ化にも対応。

聴力測定をしたり、聴こえているノイズをテストすることで自分の耳にあった音質やANC強度に調整してくれるんだ。

イコライザの細かい調整はめんどうくさいって感じる人はぜひ試してほしい。

マルチポイントなど各種設定

他にはマルチポイントや着脱検知を有効にするかどうかを好きに設定できたりする。

これも無効にしておくとバッテリー持ちが良くなるとかのメリットがあるから、不要な機能はオフにしておくことを推奨。

Nothing Ear(2)のハイレゾは微妙

Nothing Ear(2)は一応ハイレゾに対応しているんだけど、肝心のコーデックがLDACじゃなくてLHDCっていうかなり珍しい規格を使っているんだ。

そして、日本市場でこの規格に対応しているのは現状XiaomiのハイエンドモデルとNothing Phone(1)のみ。

つまりは超少数派なんだ。こんなの実質使えないといっても過言じゃない。

Nothing Ear(2)はファン向けの製品

というのがNothing Ear(2)の全容であり真の姿だった。

たしかに初代と比べて進化してる部分は多いし、Nothing社的には最高傑作なのも間違いない。僕も実際使ってみて、奇抜なデザインだけじゃないんだなと認識を改めさせられた。

ただ、だからといってオススメできるかと言われれば微妙。

ライバルは出し抜けない

付加価値はほぼぜんぶ入っていて価格なりの品質はあると思うんだけど、逆にあの透明ボディ以外のアピールポイントが見つけられなかったんだ。

音質がものすごく良いわけでもなければ、唯一無二の機能があるわけでもない。

壮絶な椅子取りゲームを繰り広げているイヤホン業界で、見た目だけで戦うのはもう厳しい時代。それも見慣れてしまったらそれまでって話だし。

機能面はPixel Buds Proが強すぎ

それに同じぐらいの価格にはGoogle謹製のイヤホンPixel Buds Proが控えている。ANC性能はNothing Ear(2)にちょっとだけ劣るんだけど他の部分がマジで優秀なんだ。

それが例えばスライド操作での音量調整、Googleアシスタントを音声起動できるVoice Matchとか。これが便利すぎて僕はいまだにPixel Buds Proを手放せない。

Pixel Buds Proについての詳しいレビュー記事は下記より。

【Pixel Buds Proレビュー】Googleの本気を感じるANC搭載完全ワイヤレスイヤホン

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